━━ 『特許を斬る!』知財経験34年 ・・・ 愚禿の手記 第13号 ━━
ポラロイドカメラの生みの親、ランド氏がポラロイド写真を発明したきっかけは、3歳の娘の一言だった。
「何故、撮った写真をすぐ見ることができないの・・・?」
この一言が、ポラロイドという画期的なカメラを誕生させるきっかけとなったのだ。
普通、子供からこんな質問をされた親は、
・写真屋さんに行ってフィルムを現像しないと見れないのよ、とか
・写真屋さんが混んでるからすぐには出来ないのよ
と云った説明をするだろう。
そう、普通は「どうして、出来ないの?」と聞かれたら、出来ない理由を答えるものだ。
しかし、ランド氏は違っていた。
「確かに、そうだ! 誰もが、撮った写真をすぐに見たいはずだ。」
この『気付き(=ひらめき)』が、撮影技術と現像技術を合体させたランド氏大発明のきっかけとなった。
もし、娘さんの一言がなかったら、ポラロイドカメラの出現はずっとずっと遅れていたのかも知れない。
ポラロイドカメラの真の発明者は、3歳の娘さんだった・・・と言いたいところだ。
「何故?・どうして?」という質問に対して、多くの人は出来ない理由を考える。
しかし、出来るようにするにはどうしたらいいか!という逆転の発想に切り替えることが出来れば、
誰にでも大発明のチャンスがあると言えるのではないだろうか。
そう、「何故? どうして?」が、『気付き』の出発点なのだ。
そして、『気付き』には、二通りのケースがある。
自分で気付くケースと、他人から気付かされるケースだ。
一般に、日常の気付きは、他人から気付かされる後者のケースの方が多いように思える。
会社の中でもそうだ。
「どうして、こんなことしたの?」と聞かれて、初めて、
何故、こんなことしたんだろうか? こうすれば、もっと楽だったはずなのに・・・と自問した経験も多いはず。
「何故?どうして?」が、『気付き』のきっかけを作るとするならば、
「何故、できないの?」という質問と、「どうすれば、出来るの?」という質問を、ペアにすることで、聞かれた相手の反応は全く違ってくるはずだ。
ただ、気付かせる、だけでなく、
ただ、考えさせる、だけでもなく、
『気付かせて、考えさせる』ことが、大切なのだと思う!
子供に対しても、部下に対しても、この「気付かせて、考えさせる」という接し方をすることで、彼らの潜在的な能力を引き出すことが出来るのではないだろうか。
企業の知財部員も、特許事務所の所員も、技術者(発明者)に気付きを与え、考える方向性を指し示すことが出来れば、ポラロイドに負けない大発明を産み出す手助けが出来るはずなのに、
一体、日本に何人、これが出来るスタッフがいるだろうか・・・・
それでは、また。
★ 編集後記
いよいよソチオリンピックが開幕しました。
家の前のマンションでも、多くの部屋に遅くまで電気が点いています。
やはり、LIVEの迫力がいいですよね。
ランド氏の偉大さを感じながら、そう思いました。