━━ 『特許を斬る!』知財経験34年 ・・・ 愚禿の手記 第56号 ━━
明けましておめでとうございます。
今年は、「未(羊)年」
『未』という字は、象形文字で枝葉の茂った様を表わすそうです。
皆さんのこれまでの努力の成果が大きな実を結ぶ年となりますよう心より祈願いたします。
本年も引き続きご愛読の程、よろしくお願い申し上げます。
さて、正月と云えば・・・初詣。
会社勤めしていた頃、仕事始めの恒例行事として近くの神社に毎年ご祈祷に行ったことを思い出す。
東京品川区大崎に本社ビルがあった頃は、歩いて10分くらいの距離にある「居木(いるぎ)神社」に毎年昇殿ご祈祷の参拝をしていた。
神社の主祭神は、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)だそうだ。
この神社には江戸時代に奉納されたと云われている鳥居や御手洗鉢が残っていたり、一刀彫の見事な欅の御神輿が置いてあったり、とにかく、歴史と伝統を感じさせる神社である。
中でも、お祓いの最中に鳴り響く大太鼓の音がハンパじゃなかったことを覚えている。
大太鼓には珍しい高音を出す太鼓で、正月の酒が一気に抜けてしまうような凄まじい音が心臓に突き刺さる感じは今も忘れようがない。
去年、商標法が改正され「音の商標」の登録が可能になった。
居木神社の太鼓の音も是非商標登録してもらいたいものだ。というよりも、
我が国の神社仏閣の太鼓の音や鐘の音はすべて商標登録の対象ではないだろうか。
大晦日の除夜の鐘にしても、一つとして同じ音はないような気がする。
一説によると、梵鐘の音色は鐘の周りに複数個並べられている乳と呼ばれる突起物の数によって変わるらしい。
もしかしたら、音を聴いただけで、それがどのお寺の鐘か、どの神社の太鼓かを識別できる人がいるのかも知れない。
そうなると、また、中国あたりの国に鐘や太鼓の音商標を先に奪われてしまい、
日本の文化や伝統に目を付けた海外勢が、音商標を盾に国内に乗り込んでくるのではないだろうか。
あるいは、日本文化の海外展開に支障を来すことだって予想される。
新しい時代の変化に合うように、法律を改正していくことは重要なことである。しかし、一方で、それによって大切な伝統や文化を阻害する揉め事が起きないよう十分な注意も必要だ。
法改正によって、手持ちの資産の守り方もこれまでとは変えていかなければならないからだ。
法律がどのように変わったかを告知することは勿論大事だが、同時に大切な資産の守り方も分かり易く解説していく必要があることを忘れてはならない。
特に、知財に疎遠の方々に。
「讃岐うどん」や「クレヨンしんちゃん」の二の舞にならないように・・・
(今年も、中国要注意!)
日本の伝統行事である除夜の鐘が消え、太鼓の音が聴けないご祈祷という悲劇が訪れないことを切に祈りたい。
除夜の鐘を聴きながら、ふとそんなことを考えた。
それでは、また。 今年もよろしくお願いします。
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★ 編集後記
ミサイル特許を持っている人が、戦争をしている国にミサイルの使用差止めと言っても効き目はありませんよね。
でも、特許で戦争を止めさせることができれば、すごいことなのではないでしょうか。ノーベル平和賞間違いなし。
何か良い手はないものか・・・・ (新年早々、スミマセン!!)