知財と教訓

知財の教訓企業で知財業務34年の経験者が伝えたい知財戦略(知略)のヒント

  • 2015年7月17日

    発明とは、ノンフィクションのドラマである。 特許技術者に伝えたい一言:第77号

    ━━ 『特許を斬る!』知財経験34年 ・・・ 愚禿の手記 第77号 ━━   ポラロイドカメラの発明は、3歳の娘が言った「どうして撮った写真は、すぐに見れないの?」の一言からドラマが始まった。   味の素の発明は、奥さんの作った湯豆腐の出汁昆布がドラマの始まりらしい。   亀の子タワシは、障子の桟の掃除がきっかけだとか。   そう云えば、3M……
  • 2015年6月29日

    特許の独占権って、そんなにすごいの? 事業を知らずして、特許を語ることなかれ:第76号

    ━━ 『特許を斬る!』知財経験34年 ・・・ 愚禿の手記 第76号 ━━   『特許には独占権がある!』   恰好良くて、強そうな武器のように聞こえるが、果たして本当だろうか・・・?   特許のセミナーを聴くと、皆さんが口を揃えて特許の威力を熱く語っておられる。特許の効力は、『市場独占、参入障壁、競合排除、そして、投資回収である。』と。   ……
  • 2015年6月15日

    今でも悔やまれる負け戦(3)・・・「3ピンの壁」 SIMM特許侵害訴訟:第75号

    ━━ 『特許を斬る!』知財経験34年 ・・・ 愚禿の手記 第75号 ━━   人は時として自分の立てた理屈の世界に入ってしまうと周りが見えなくなるものだ。   特に、特許訴訟の世界では、苦労して探し当てた証拠を見て「これならいける!」と思った瞬間に大きな過ちを犯しやすい。   私が『3ピンの壁』を乗り越えることが出来なかったのも、まさしくこれだった。 &……
  • 2015年6月8日

    今でも悔やまれる負け戦(2) SIMM特許侵害訴訟:第74号

    ━━ 『特許を斬る!』知財経験34年 ・・・ 愚禿の手記 第74号 ━━   他人の特許発明を理解する上で最も重要なことは、その発明者が何をしたのか!・・・ではなく、   何をしたかったのか! を正しく把握して、発明者の技術思想を読み取ることだ。   SIMM特許訴訟で敗訴を経験して得た大事な教訓の一つである。   発明者が何をしたかは、特許……
  • 2015年6月1日

    今でも悔やまれる負け戦(1) SIMM特許訴訟:第73号

    ━━ 『特許を斬る!』知財経験34年 ・・・ 愚禿の手記 第73号 ━━   『日本勢、米国で敗訴。 製造・販売差止め!』 忘れもしない、新聞でこの文字を見た時のことを・・・   SIMM(Single In-line Memory Module)特許、それは   30本のピン(端子)を持つ細長い長方形のプリント基板上に9個のメモリチップを横一列に並べる……
  • 2015年5月25日

    ドラマのような和解交渉・・・二転三転の結末とは! サスペンド&レジューム特許:第72号

    ━━ 『特許を斬る!』知財経験34年 ・・・ 愚禿の手記 第72号 ━━   「私は、許可していない!」   そう言って突然現れ、まとまりかけていた交渉をひっくり返した副社長は、席に着くとテーブルの上に足を投げ出して話を続けた。   「アメリカでどんな話を聞いて来たか知らないが、勝てる裁判を止めるバカはいない。止めたければ我々に慰謝料を支払って貰いたい。こ……
  • 2015年5月18日

    ドラマのような和解交渉・・・特許論争の行方 サスペンド&レジューム特許:第71号

    ━━ 『特許を斬る!』知財経験34年 ・・・ 愚禿の手記 第71号 ━━   (前号の続き)   特許交渉で最も時間を費やすのは、特許を使っているか否か(すなわち、侵害か否か)を議論する権利解釈論争である。   我々の特許の特徴は、蓋の開閉に応じて自動的に電力消費モードが切り替わるという点にある。   今回、相手の知財部長が非侵害の理由として……
  • 2015年5月11日

    ドラマのような和解交渉・・・いざ、ソウル決戦! サスペンド&レジューム特許:第70号

    ━━ 『特許を斬る!』知財経験34年 ・・・ 愚禿の手記 第70号 ━━   (前号の続き)   アメリカの子会社との交渉が失敗に終わった今、一刻も早く訴訟を終わらせるには、親会社である韓国の会社と直に会って和解に持ち込む必要がある。   しかし、相手は韓国だ・・・。   一筋縄じゃいかないことは、過去の経験から分かっている。  ……
  • 2015年4月20日

    ドラマのような和解交渉の想い出 サスペンド&レジューム特許:第69号

    ━━ 『特許を斬る!』知財経験34年 ・・・ 愚禿の手記 第69号 ━━   ノートパソコンで、蓋を閉じると作業状態を維持したまま自動的に省電力モードに入り、蓋を開けると以前の作業状態に復帰するサスペンド&レジューム特許。   この特許で、米国のPCメーカに差止め請求と損害賠償請求を求め、カリフォルニア連邦地裁で争っていた時の話。   相手は、低価格PCを……
  • 2015年4月13日

    故・勘三郎さんを偲んで・・・ 記憶に残る技術者との会話:第68号

    ━━ 『特許を斬る!』知財経験34年 ・・・ 愚禿の手記 第68号 ━━   歌舞伎界の風雲児、故・中村勘三郎さんが平成中村座を旗揚げして、ニューヨーク公演を成功させたのが10年前。   当時、勘三郎さんにインタビューした時の記事を目にした。   歌舞伎にエレキギターを取り入れるという画期的な公演をやってのけたことについての質問に、   勘三……
知財法務コンサルタント
堤 卓一郎

埼玉大学理工学部電気工学科卒
日本電気株式会社に入社。以来34年間知的財産及び企業法務に従事し、 特許技術部長、知財法務事業部長、監査役を歴任。在籍中は、多くの国内及び海外企業との知財関連訴訟やライセンス契約の責任者として事件解決や紛争処理に努め、一方で「取得」主体の知財活動から「活用」に主眼を置いた知財戦略や知財活動、教育の改革に取り組む。また、企業法務の責任者として、コンプライアンスやコーポレートガバナンスの管理・運用に従事。半導体事業及びパソコン等のパーソナル事業に精通。

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