輸入(輸出)差止申立制度とは
知的財産のうち、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権及び育成者権を有する者または不正競争差止請求権者が、自己の権利を侵害すると認める貨物が輸入(輸出)されようとする場合に、税関長に対し、当該貨物の輸入(輸出)を差し止め、認定手続を執るべきことを申し立てる制度です。
認定手続きとは
知的財産侵害物品に該当すると思料される貨物を「侵害疑義物品」と言います。その侵害疑義物品について、侵害物品に該当するか否かを認定するための手続きが「認定手続」です。
グローバルなビジネス社会において、模造品や類似品の流通は、会社にとって極めて大きなダメージとなります。こうした不当な流通を押え込むのが税関での差止、即ち、水際対策です。財務省の報告によれば、令和元年の知的財産侵害物品の輸入差止件数は約2400件、差止点数は100万点を超えています。そのうち中国からの輸入品差止が80%超で高水準となっています。
税関での差止が可能な物品は、特許権、意匠権、商標権、著作権(著作隣接権)、及び、育成者権の侵害品と、不正競争差止請求権で指定された物品です。従って、水際対策を活用するには、お客様の製品がしっかりした知的財産権で強くガードされていることが前提となります。
また、差止申立て時に最も重要なことは、権利侵害事実の証明です。不十分な証明では、税関で却下される可能性が高く、さらには、輸入(輸出)者から営業妨害行為で逆提訴される危険性もあります。従って、侵害証明は、極めて慎重に行う必要があります。
私達は、この水際対策のご支援に当たって、税関目線で客観的に事実を直視し、ニュートラルな視点で侵害確認を行います。そして、侵害事実が確認された時は、慎重かつスピーディに証明資料を作成し、税関への申請を支援いたします。また、資料作成に際して、不備・不足と思われる情報の追加や補強に関しては適切なアドバイスを提供し、お客様と協力して早期差止が実現できるよう全力でお手伝い致します。
私達は、税関差止支援サービスとして、以下の4つのサービスメニューを用意しています。
■ご相談サービス
模造品や類似品が海外から輸入されたり、あるいは、海外へ輸出されたりして、お客様のビジネスに障害が出ている時、もしくは、出そうな時、お気軽にご相談下さい。専門家が、今ある状況をお伺いして、次に打つべき手をアドバイスします。例えば、
等々、模造品や類似品が海外に流れていたり、逆に海外から日本に流れ込んで来たりして事業を邪魔されていると感じたら、早急に何等かの手を打つ必要があります。
私達は、状況を見て、最善と考えられる対策を分り易くお客様にお伝え致します。
■税関提出用証拠資料の作成サービス
税関提出資料に求められるのは、「信憑性」と「確実性」です。そのためには、正しい事実関係を分り易く説明することが事が大切です。税関に提出するための輸入(輸出)差止申立書のフォーマットに正しく、分り易く記載することは勿論のこと、大事なのは侵害の事実を証明するための添付書類です。
裁判所の判決文や仮処分決定通知書は、侵害の事実を証明する上で信憑性の高い証拠と成り得ますが、裁判には時間がかかります。その間にも、侵害品は世界中にどんどん拡散していきます。また、裁判手続きに入る前に海外に持ち出されたり、海外から持ち込まれたりするものには効き目がありません。そのような時、弁護士や弁理士が作成した侵害鑑定書を添えておくのも一つの有効な手段となります。私達は、このような鑑定書の作成も、タイミングを逃さないようタイムリーに、かつ、正確に対応いたします。
また、差止申立の後で発見された新たな情報に対しても、時を逸することなく追加資料や補足資料を作成し速やかに提出できるよう支援いたします。
■差止申立て申請支援サービス
差止申立てが出来る税関は、全国に9か所あります。本サービスは、お客様の代理として税関対応の窓口を務めるサービスです。
申請書に不足や不備がないかどうかを十二分にチェックし、スムーズに受理されるようお手伝いすると共に、税関からの問い合わせや質問等に対しても、出来る限りお客様に負荷が掛からいよう最新の注意を払って的確に対処いたします。
また、お客様からのご要請に応じて、輸入(輸出)業者からの問い合わせや、交渉時の代理や同席も務めます。
私達は、案件の早期解決を目指し、お客様に最高のサービスを提供して参ります。
■事後対応支援サービス
税関では、侵害品に該当するとの認定が下された場合、輸入(輸出)品を没収して廃棄する処分まではやってくれます。従って、この水際対策は、被害の拡大を止める非常に有効な手段だと言えます。しかしながら、侵害品の輸入や輸出行為によってお客様がそれまでに被った被害や損害の補償まではしてくれません。
では、お客様がそれまでに被った損害の補償や信用回復等、事業を元の軌道に乗せ、さらに、発展させるためには、どうすれば良いのか!
私達は、侵害排除だけでなく、事業の修復と発展に必要な今後の対策を、お客様と一緒になって考え、これまで培ってきた経験とノウハウを活かして最善と思われる対応策を提案いたします。そして、必要であれば、侵害者に対する損害賠償請求や信用回復・名誉回復のための要求等、法的に認められているあらゆる措置を検討し、その実行まで誠意をもってお手伝い致します。
事件の収束は勿論のこと、その後のアフターケアまで一気通貫で支援する、これが私達の「おもてなしサービス」の精神です。