新品種登録出願
種苗法とは
植物の新品種(花や農産物等)の創作を保護するための法律です。
育成者権の保護期間
品種登録後、最長25年間(果樹等の木本は最長30年間)
登録品種の保護のための措置
【民事上の措置】
•育成者権が侵害された種苗や収穫物等の流通の差止め
•育成者権の侵害によって発生した損害の賠償請求(過失が必要)
【刑事罰(侵害の罪)】(故意が必要)
•個人:懲役10年以下、罰金1千万円以下(併科可能)
•法人:罰金3億円以下
■出願支援
種苗法は、特許法や商標法と同じで、出願して登録を受けないと権利は発生しません。従って、新品種の出願は、育成者が法的保護を受けるための最も重要なアクションだと云えます。
種苗法で保護される品種は、新しく開発して登録を受けた品種のみで、それ以外の一般品種は何ら法的制限を受けません。一般品種とは、在来種、登録されたことがない品種、及び、登録期間が切れた品種を指します。
また、新品種の登録要件として、区別性、均一性、安定性、未譲渡性、及び、名称の適切性が定義されています。従って、登録したい品種が、これらの要件を満たしているか否かの判断が必要です。
さらに、出願に際して、品種の特性等を記載した説明書や、植物の写真、種子又は種菌の添付が要求されます。
私達は、出願した品を、遅滞なくスムーズに登録出来るよう、法的視線での要件チェック、及び、出願書類や添付資料の作成等、出願に必要な処理を国内及び国外を含めてトータルで支援いたします。
■審査支援
登録のための審査は、方式審査と実体審査の二通りで行われます。方式審査は、出願書類に不備があるか否かを公表の前に行う審査で然程手間のかかるものではありません。しかし、問題は、公表後に行われる実体審査です。実体審査には、特性(DUS)審査と名称の適切性、及び、未譲渡性が含まれます。中でも、大変なのが、特性(DUS)審査です。これは、出願された品種が登録要件のうち、以下の要件を満たしているかどうかを審査するものです。
これらを審査するために、栽培試験と現地調査(もしくは、資料調査)が行われます。品種によっては、種苗管理センターで類似品種との特性比較を行ったり、出願人の栽培状況を現地で調査したり、手間暇のかかるケースもあります。
私達は、これらの審査が出来る限り円滑に進行するようお客様を支援し、登録までの期間短縮のお手伝いを致します。
■登録支援
折角、審査をパスしても、登録料が納付されなかった場合は、登録が抹消されてしまいます。登録料は、権利存続期間中は、毎年支払わなければなりません。
私達は、納付漏れがないよう定期的に権利維持の要否確認を行い、登録料納付の適切な期限管理にご協力致します。
品種登録が行われると、出願人には登録品種に対する「育成者権」という排他的独占権が与えられます。その結果、登録品種を独占的に利用(種苗の生産、販売等)することが出来ます。さらに、財産権として、他人に譲渡したり、利用権を与えて利用料を得たりすることが出来るようになります。
しかし、その際、利用条件や利用の範囲等の設定を、一歩間違えると却って自分の首を絞めることにもなりかねません。権利を譲渡したり許諾したりする時には必ず契約書が必要です。私達は、国内外を問わず、相手との契約書を隅々まで徹底的にチェックして、お客様の権利が有効に活用され、予期せぬ被害を被らないように支援いたします。
また、登録品種を外国へ輸出したり、逆に外国で登録された品種を輸入するケースにおいても、法的観点からその状況を厳重に査閲して、お客様が不利益を被らないよう支援いたします。
一方、山形県のサクランボ「紅秀峰」や栃木県のいちご「とちおとめ」等、日本のブランド品が知らないうちに海外で栽培され、育成者の権利が侵害される事件が多発がいます。その際、重要なのが、DNA分析技術を用いた品種識別による侵害立証(DNA鑑定)です。私達は、お客様の苦労が水泡に帰さないよう、必要に応じて品種保護Gメンとも協力しながら侵害品の早期排除にご協力いたします。
海外でも高く評価されている日本ブランドを末永く維持していくためにも種苗法の活用は、非常に重要であると考えます。ぜひ、積極的なご利用を推奨致します。